理念経営実践企業の研究

2010年4月19日 (月)

第333号 『価値のあるものはなくならない カクヤス』 理念経営実践企業の研究20

「本当に楽しそうですね。」実に楽しそうにお話される佐藤順一社長に振ってみました。「社長が一番楽しくなければ会社はだめでしょう。」と豪快に返事が返ってきました。法改正による酒販免許の自由化、量販店との価格競争など業界を激震させる幾多の出来事に直面しながらも、盤石とした経営を成し遂げてきた佐藤社長はどこまでもにこやかに、そして自信にあふれた表情でカクヤスに対する思いを語り続けられていました。

理念経営実践企業の研究もいよいよシリーズ20回目となりました。今回は、「ビール1本からどこへも2時間以内に配達する酒店株式会社カクヤスを取り上げます。

佐藤社長は語ります。「社長の仕事は戦略意思決定と企業風土づくりの2点に集約される。あとは全部社員に任せている。」実に正しいと思いました。そして、「会社経営は中華料理の円卓のようなもの。料理はまず先に社員に勧める。そうすると一周して戻ってくると自分のところには2人前くらいの料理が戻ってくる。」と語られました。まず社員、まずお客様からという姿勢がより大きな利益を生むということの例えです。やっぱり経営は利他の心が大切だと説かれているのです。

事業目的は『いつでも』『どこへでも』『どれだけでも』

『価格競争から抜け出し有効供給を実現し、お客様から選ばれ続ける企業になること』このことはおよそ現在小売業を営んでいる会社に課せられた命題であると思います。「企業・産業の盛衰は、いつの時代も需要の原理(有効需要の創出)ではなく供給の原理、つまり顧客満足度の高い、感動的価値の創造、つまり、「有効供給力」で決まる。」と述べたのは坂本先生ですが、この会社ほど見事に有効供給を実現させてきた会社にそうそうお目にかかれるものではありません。なぜそれが実現できたのでしょうか。

業界の常識を疑うこと

佐藤社長は小売業者は、まず自分たちの都合を考えてしまうという悪い癖があると指摘をされています。曰く「例えば、配達件数は1時間に何件までにするとか、配達だから料金を高くするとか。業務用酒屋だから土日は休みと か。しかしそういった条件に合理的な理由があるとは思えません。冷静に分析すれば、配達料を無料にしても利益が出るかも知れないし、土日に営業すればもっと売上が上がるかもしれない。売上アップは酒販業界の常識ではなく、お客様のニーズの先にあるはずです。私たちはそれを最も重視します。」

徹底的にお客様の視点から考え抜き解が見つかったら一気呵成に実行

徹底してお客様の視点からビジネスの有り様を考え、実現するためにはどうすればいいかということをさらに深く考え、これが答えだという解を見つけたら果断に行動し仕組みを創り上げることを実践しました。東京都23区内で配達サービスで黒字が出せる商圏半径1.2キロで23区全域をカバーするなら、必要な店舗数は計算上137となるということで28店舗・売上200億規模の時に、一挙に100も店を増やすという大決断を実行したのです。佐藤社長は言います。「増やすとしたら10年計画なんてのんびりやってちゃだめ。絶対に3年でやり遂げるんだって決めました。正気の沙汰じゃないといわれれば、その通りかもしれない。でも、我々には他に選択肢はなかったんです。」

仕組みが出来あがった時、無理だったものが可能になる

どこでも配達できる体制は出来たものの、各店舗は赤字だらけで経営はひっ迫していきます。家庭向けの宅配ではやはり限界なのかと感じた時、再び深く考え気づきを得ます。これだけの店舗網はかつて対象にしていた事業用にも転用できるはずだとダメもとで飲食店を顧客にして新たな展開を始めます。「注文は必ず前夜にしなきゃならない。配達は一日一回まわってくるだけで融通が利かない。お客さんからすればまったく不便なシステムなんだけれど、みんなそんなもんだと諦めてる。そこにうちは、『困った時だけご連絡ください。いつでも、どれだけでも、もちろんどこへでもお持ちしますから』って。これだけを営業マンに言ってまわらせました」すでに業界では非常識なサービスを供給できるようになっていましたので、これが大いに受け、あっという間に取引先が拡大し経営が安定していくことになります。見事に成功を収めたのです。

お客様を信じて続けること

佐藤社長は語ります。「赤字店舗が続出しても続けることができたのは、ここにお客様のニーズがあると確信して、売れない時期を我慢したからです。そのうち、一度利用されたお客様がリピーターになり、口コミで広がり、チラシ広告も浸透して、半年もたった頃には黒字を達成することができたのです。シビアなお客様に認めて頂くためには『売れなさに耐える』ということが非常に重要であると思います。同時に、良いことを続ければ必ずお客様に選ばれるということを改めて確信しました。」

カクヤスらしさを実現するための信条

同社のサイトには、カクヤスらしさ守るために全員が信条にしていることがあります。まさに理念経営に通じる素晴らしい考え方が示されています。最後にご紹介してレポートを終えます。

お客様に対し何が出来るか。出来たことの結果が売上・利益となる。売上は利益を得るための手段、利益は事業目的達成のための手段。お客様のご要望には何でも応えるべく社をあげて全力を尽くす。スタッフはお客様に、マネージャーはスタッフに、ボードはマネージャーに向く。新しい仕組み・サービス構築のために、試行錯誤が常に行われている。どんな提案にも必ず意味があるとみんなで考えられる。上下関係はなく、常に相手を尊重し、役割分担とチームプレイの精神が浸透している。社員の自主性が重んじられ、各々が課題の達成に向けて仕事を楽しんでいる。

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2010年2月 8日 (月)

[新SVC通信] 理念経営実践企業の研究19『価格競争に打ち勝つ法 でんかのヤマグチ』

新SVC通信第323号

理念経営実践企業の研究19

『価格競争に打ち勝つ法 でんかのヤマグチ』

http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20100208.pdf

でんかのヤマグチ
http://www.d-yamaguchi.co.jp/index.html

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2009年10月19日 (月)

[新SVC通信] 第309号 理念経営実践企業の研究17「理念の力で躍進続ける外食産業 株式会社坂東太郎」

いつもお読みくださりありがとうございます。
新SVC通信309号です。

『理念の力で躍進続ける外食産業 株式会社坂東太郎
 ~理念経営実践企業の研究17』
http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20091019.pdf

坂東太郎のサイト
http://www.bandotaro.co.jp/

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2009年8月17日 (月)

[新SVC通信] 第301号 理念経営実践企業の研究16「仕事は‘芸術’、そして‘祭り’ 沖縄教育出版」

新SVC通信301号です。

『仕事は‘芸術’、そして‘祭り’ 沖縄教育出版』
 ~理念経営実践企業の研究16
http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20090817.pdf

8月12日、かねてから注目していた「沖縄教育出版」さんへ訪問してきました。
日本一長く楽しい朝礼参加しました。
これまで数多くの朝礼に参加しましたが、涙がこぼれてきたのは初めての経験でした。社長の川畑さんから何度も「理念経営」という言葉が飛び出してきました。
ここまで当通信が訴えてきたことが間違いなかったと改めて感じました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
強行日程でしたが視察に行った甲斐、そして価値がありました。

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2009年8月 3日 (月)

[新SVC通信] 第299号 理念経営実践企業の研究15「創栄Group 加藤秀視社長」

理念経営実践企業の研究15 ~ 創栄Group 加藤秀視社長
http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20090803.pdf

本号では、きたる10.21に『本来あるべき経営人事を考え実践するセミナー4』でゲスト講演をしていただくことになりました創栄Groupの加藤秀視社長を取り上げました。経営理念というよりは、加藤さんそのものの人生理念が会社になっているといったほうが適切に感じます。

加藤さんの活動に触れると、とにかくこちらも元気や勇気が湧いてくるのです。自分もやるぞ、頑張るぞという気持ちになってしまうのです。トップがそういう波動を派出していれば確実に組織は一本になっていくに違いないと感じます。

10.21では大いに‘気'をいただきたいものです。

創栄Group 経営理念
http://www.souei.info/company.html

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2009年7月27日 (月)

[新SVC通信] 第298号 理念経営実践企業の研究14「純度増す理念経営 ライブレボリューション2」

新SVC通信第298号です。

『純度増す理念経営 ライブレボリューション2 ~理念経営実践企業の研究14』

http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20090727.pdf

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2009年6月22日 (月)

[新SVC通信] 第293号 理念経営実践企業の研究13「ここまできた理念経営 巣鴨信用金庫」

新SVC通信第293号です。

『ここまできた理念経営 巣鴨信用金庫 ~理念経営実践企業の研究13』
http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20090622.pdf

今週号は、大変ご好評をいただいている『理念経営実践企業の研究』シリーズの最新作です。取り上げさせていただた企業は誰もがよく知っている金融機関ですが、すごい経営をしていることは意外に知られていません。

私自身、坂本研究室で調査に行ったことが巣鴨信用金庫さんの取り組みを知るきっかけとなりました。まさに、おもてなしを受けましたが、職員の方の応対が素晴らしく、とても好印象をもちました。幸せに働いているということが伝わってくるのです。

都市銀行では年配の職員の方が一日中立ちっぱなしで「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と声掛けを行っている光景をよくみかけます。機械じゃあるまいし、一日何回同じことを言っているんだろう、なんて奴隷的なんだろうといつも同情してしまいます。

規模の大きい有名都市銀行に就職するよりも、小さな信金に入ってお客様に喜ばれる仕事をしたほうが、はるかに人生充実するに違いありません。人生まさに選択だとつくづく思うのです。

※今週号の情報ソース

ホスピタリティ―CS向上をめざす巣鴨信用金庫の挑戦
http://www.sugamo.co.jp/news_release/20070604.html

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2009年5月18日 (月)

[新SVC通信] 第288号 理念経営実践企業の研究12「大惨事にも勝つ理念力 サウスウエスト航空」

新SVC通信第288号です。

今、お世話になっている法政大学院坂本ゼミでは、定期的に課題図書が出されます。以前にご紹介しました伊那食品工業の塚越会長の「年輪経営」がまず第一に指定された図書でした。そして、次に「社員第一、顧客第二主義―サウスウエスト航空の奇跡」という書籍が指定されました。この会社のことは以前より知っていましたが、改めて、すごい理念経営をしているなと感じました。今週の通信で早速取り上げさせていただくことにいたしました。

理念経営実践企業の研究12「大惨事にも勝つ理念力 サウスウエスト航空」
http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20090518.pdf

※情報ソース

サウスウェスト航空の成功の秘訣
http://www.jamjapan.com/jp/columns/i_media/SWAir.html

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2009年4月20日 (月)

[新SVC通信] 第285号 理念経営実践企業の研究11『業種を問わず成功する理念経営 ネッツトヨタ南国』

新SVC通信第285号です。

理念経営実践企業の研究11
『業種を問わず成功する理念経営 ネッツトヨタ南国』
http://www.keieijinji.com/svcnews/pdf/new_svcnews20090420.pdf


※本号記事で参考にしたサイト

ネッツトヨタ南国 横田社長ロングインタビュー
http://www.keikakuhiroba.net/executive/19_01.html

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