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2017年5月

2017年5月29日 (月)

「働き方改革」関連ニュース

★帝人 「保活コンシェルジュサービス」を導入

 https://www.teijin.co.jp/news/2017/jbd170524_12.html

「帝人グループは、仕事と育児の両立支援施策の一環として、5月22日より、社員が子どもをスムースに保育所に入所させるための活動(以下「保活」)をサポートする「保活コンシェルジュサービス」を導入しました。」 

待機児童問題が解消されず、社員が育児休職から職場に復帰する上で障害となっているため、育児サービス会社と契約したという。
企業が保育所入所にここまでサポートするのは珍しい。
これは感謝する社員も増えることだろう。

★「働き方改革を進めさせる」=ヤマト労組が中央研修会

http://cargo-news.co.jp/contents/code/170525_3

「森下委員長は、「(会社側は)このような状況を招いたことへの猛省をもとに、経営理念や社員力、お客様との寄り添い方、社会との向き合い方を見直し、不退転の決意を持って働き方改革を進めて、社風を刷新する経営が求められる」と指摘し、「現場からの要望がしっかり具体化されるよう、労組でも本部と全国各支部が連携した活発な活動が必要となる」と協力を求めた。」

指摘しているプロセスはまさしく業績軸から幸せ軸へ向かい始める人本経営の実践といえよう。ヤマトの動向は今後も注視していきたい。

★ヤマト、1万人規模で採用 ドライバーらの負担軽減

http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kigyo/20170512.html

「2017年度中に1万人規模で従業員を採用する方針。長時間労働が続くドライバーらの負担を減らし、労働環境を改善するのが狙いだ。今年度の社員に対する給料総額は5,300億円に膨らむ。前年度比163億円の増加で、今年度の連結純利益見通しにほぼ相当する額だ。宅配便取扱量は4%減らす一方で、人手を増やして残業や配達の外部委託費用の抑制につなげる。」

この人手不足の時代にそれだけの雇用が果たして実現できるのか。
しかし、そうしていかないと持続的な経営に支障が出ているのだろう。
利益をすべて人件費につぎ込む。
もはや人件費をコストではなく投資の時代になっていると実感させられる。

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第686号『大企業との新卒獲得合戦に勝つ採用のあり方とは』

リクルートワークス研究所が先月発表した「大卒求人倍率調査(2018年卒)」 によると、2018年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.78倍となっています。

2018年卒大卒求人倍率は1.78倍、前年と同水準/民間調査
http://www.recruit.jp/news_data/release/2017/0426_17338.html

企業が75万人採用したいのに供給される学生数は42万人しかいないということです。これからずっとこの状態が続いていきます。採用について根本的に考え方を変えないとならない企業が続出してくることは明白な状態といえるでしょう。

人を大切にする人本経営を実践している会社の採用方法をベンチマークしていくことは、今後とても有用な経営課題となってきているといえるのではないでしょうか。

■大企業との新卒採用合戦を制して2017年33名の新卒採用を実現したテニススクール

兵庫県に本社があるテニススクールを運営しているノア・インドアステージ株式会社。

2008年頃から業績軸から幸せ軸へ経営の舵を切り出していき、ノアイズムが生まれ、人を大切にする企業文化が花開き、2013年には経済産業省の「おもてなし企業50選」に選出されるまでに社風を改善していきました。いい会社づくりに励みだし、2011年から新卒採用にも本格的にチャレンジしていきました。2017年の新卒は33名も採用することに成功しています。

テニススクールが事業ですから、採用する学生は、大学のテニス部や同好会、サークルなどで実績を残してきた若者たちとなります。実は、こうした体育会系の活力のある学生たちは、上場企業や有力企業も欲しい人材として白羽の矢を立てています。

中小企業のテニススクールが大企業と人材の争奪合戦をしなければなりません。そうした状況下で33名の新卒採用を実現していることは特筆すべきといえるでしょう。その成功要因は、参加した学生の8割が一次面接に訪れるという実績を上げている会社説明会にある、と大西社長は語ります。

どのような会社説明会をしているのでしょうか。

まず、トップ自らが会社説明会の前面に出て、ノアという会社のトップはこういう社長だと知らしめることを意識して行っているといいます。そして、入社2~3年目のフレッシュな若手を同席させるために連れて行きます。

その会社説明会は、会社概要説明20分、若手社員のセッション15分、ノアイズムが実践された仕事でのエピソード動画10分、社長スピーチ20分、そして残り時間は座談会・質疑応答に当てられ、2時間程度で行っています。

この2時間に、そのままノア・インドアステージの社風が出てきます。

説明会だからといって、会社をよく見せるだけのトークや演出は一切ありません。普段の職場でしているとおりに社長、社員ともに振舞います。大西社長は、自分は安くない給料を払っているのだから社員は働いて当然という考えでいたこと、それで多くの離職者を発生させてしまったこと、そして、そうした困難はあったけれども反省して会社は変わってきた――とここまでの事実を隠さずに学生たちに話をしていきます。若手の社員たちも、入社後のギャップとして感じていること、朝から夜中までテニススクールが開いていて実際の仕事はけっこうハードなこと、それでも何でも云える風土があって自分を受け入れてくれるので、楽しく仕事をして成長実感があること、などありのままを伝えていきます。

それが説明会に参加する学生たちに裏表のない会社だと好感度を与え、一次面接に8割の学生がやってくる結果を残しているのです。普段からそういう企業文化・風土がなければ、会社説明会のときにできる訳もなく、実際にそうだからこそ会社説明会に参加した学生たちによく伝わっているに違いありません。参加者アンケートでは社長のスピーチが最も印象に残ったと多くの学生たちは答えているそうです。

やはり、社風をよくしていくことがいい人材との縁結びの可能性を高めてくれるのです。それを実現するのは愚直な人本経営の実践に尽きます。

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2017年5月22日 (月)

「働き方改革」関連ニュース

★新入社員の9割が志望の会社に入社、だが3割がいい会社あれば「転職したい」

http://news.mynavi.jp/news/2017/05/19/250/

★大学生の就職内定率は97.6%と前年同期比0.3ポイント上昇し、平成9年3月卒の調査開始以降、過去最高

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000164865.html

「入社した会社の志望順位について尋ねると、非常に多いことに8割近い新入社員が第一志望だと答えている。第3志望までを含めると、9割以上が志望していた会社に入社できたことになる。一方で今の若者はドライなようで、第一志望の会社に入ったものの、条件のいい会社があれば移りたいか尋ねると、36%が移ると答えた。」

贅沢だと一刀両断するのは簡単。
しかし、時代はこういう若者を新卒として採用しないとならない時代となっている。人を大切にする経営を実践していくことの重要性が増していることは言うまでもないことだろう。

★働き方改革で人事課題が 史上最もハイライトされている

http://diamond.jp/articles/-/128059

「人事に関連する課題が、これほどまでに重要な経営課題としてハイライトされ、それも国を挙げての取り組みとして位置づけられたことがあっただろうか。私自身の30年間の人事領域での経験をふまえても、それ以前の経営史を振り返っても、史上初めてのことではないかと感じる。いわば人事部への期待が、近年最も高まっているべき未曾有のタイミングである。しかし、わが国の経営者やビジネスパーソンは、人事部に期待するどころか、逆に適切でないと捉えているというトンデモな事態にあることがわかった。このほど実施した、「組織開発・人材開発に関する全国意識調査」の結果が、期せずしてそれを如実に示しているのである。」

まさしく働き方改革は人事に関するマター。
よって人事部、総務部に課せられる重要課題。
しかし、世の中の会社は社内の人事に期待していないというニュース。
あり得る話かと感じる。

今の時代、働き方改革は単に人事課題ではなく経営人事と捉えない経営者はこの先、道を誤る。

人事セクションに課題を投げるのではなく、経営者が先頭に立って、働き方改革の機運を盛り上げて、会社を人本主義的風土に変えていくことである。

そう捉えられると千載一遇の機会到来なのである。
これほど経営者の手腕が問われる時代は本当になかったと感じる。
すべての企業にあと「30年寿命説」をいかに克服するか、これが問われている。

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第685号『社内対話を成功させる法2』

前号から続く)

5.合意形成のルール

分科的にプロジェクトが立ち上がり、改善対策を練っていく際にさらにディスカッションを行う場が増えてくることが当然予測されます。そこで意思決定をするためのゴールデンルールをあらかじめ用意していきます。大原則は合意形成を図らなければ実行に移さないことです。「議論に参加したメンバーが納得して方向性や方法について合意を図ることができたら実行に移す」ことを絶対ルールとします。

[ベンチマーク]アクロクエストテクノロジー
重要な経営事項や職場のルールはMA(Meeting of All staff)と呼ばれる全社員参加の会議で決定される。社員理念「価値ある人生を、価値ある仲間と、共に切り拓く」に照らし、それが実現できるかどうかという判断軸で合意形成を図っている。

[ベンチマーク]HSA
同社では、新規事業などの経営決定に関しては社長も決定権が1票しかなく、全員が賛同し合意が形成されない限り、GOとはならない。1人でも反対があれば先に進まない。利用者・働くわれわれ・社会にとってより良いことかという3つのフィルターを通して考えた時に、どのような結論が得られるか、みんなで考え、合意形成に導くという行動理念を共有。ぶつかりあう、だからこそお互いの立場や考え方を尊重し、理解し合おうとし、合意形成を図ろうとする。意見を戦わせながら、またその一方で相手を思いやりながら、時間をかけて一致点を自分たちで見出していく。そういう経験が人間としての成長につながる

<合意形成のための5つのルール>

合意形成の際には次の5つのルールを参加メンバーが尊重していくことを徹底しましょう。

  1. 自分の意見はハッキリ言い、他人の意見もシッカリ聴く
  2. お互いの考え方や価値観の違いは認め、受け容れる
  3. 少数意見は無視せず、考えの幅を拡げるものと考え大切にする
  4. 平均値や多数決という葛藤を避ける方法は使わず、また安易な妥協はしない
  5. 論理的であると同時に、各々のメンバーの感情やグループの動きにも十分配慮する

6.トップ、リーダーは支援者に徹する

委員会等のプロジェクト活動での決定や計画実施の段階で、トップや経営幹部は無用な口出しをせず、社員が自主的に自分で考え、自分で判断して行動するのを後ろでサポートすることに徹しましょう。

[ベンチマーク]ホテルグリーンコア
母親が子供をただひたすら見守るように、スタッフの話に耳を傾け対話を繰り返す。
手は放すけれど、目は離さない。結果、強い信頼が経営者とスタッフの間で出来上った。
グリーンコアの成功の最も大きなポイントは、この信頼に基づく人間関係が出来上がっているということ。人間関係が悪いと「お前がやればいい」という応酬になる。情報は分断され、引継ぎに支障がでる。それは24時間365日回転が必要なビジネスホテルにとっては致命的である。

同社の金子佑子社長の「支援型リーダーの心得」はとても参考になる。

  • マネジメントは部下と闘うことではなく、スタッフの行動が次へ繋がるように環境を整えること。その結果、強い信頼感が経営者とスタッフの間に生まれる。
  • 業務命令では、自発性は絶対に生まれない。社員たちが自発性を発揮するためには「信頼されている」「受け入れられている」「関心をもたれている」状態をつくることが必須で、それを社員が感じて、自発性のスイッチを本人たちが入れる。
  • 信頼の人間関係形成のために、「コミュニケーション」と「任せる」は手段として重要。
  • 「コミュニケーション」は、チャレンジできるように背中を押すために、「任せる」は、社員一人ひとりに絶え間なく思考してもらうために実践している。そして、任せた以上は口を出さないことが肝要。「ん?」と思ったとき、何か言いたくなったときこそ信じて黙る。強制すると自発性はすぐに引っ込む。

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2017年5月15日 (月)

「働き方改革」関連ニュース

★働き方改革で残業見直し 給与総額10カ月ぶり減

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO16309960S7A510C1EA1000/

「働き方に構造的な変化が起きている。人手不足に直面した民間企業は、働く時間に制約のある人材をつなぎとめようと長時間労働の見直しを進めている。正社員もたとえ残業が減っても手取りが減る一方では改革の意欲を損ないかねない。味の素は「働き手のモチベーションを上げるためにも人材に投資していく」(同社)と4月から月1万円給与を引き上げた。効率的な働き方で労働生産性を高める。その果実を基本給アップなどで従業員に還元し、消費につなげる。こんな好循環をつくることが重要になりそうだ。」

残業削減して給与が減ったということになれば、それは不満がたまる。
働き方改革の第一関門がここ。味の素は正しいアプローチをしている。

以前、未来工業の瀧川前社長は、残業代が無くなったら困る従業員が出るのでは?との質問に対し、「あぁ、生活残業ってこと?残業しないと生活できないくらいの給与しか出せないのは社長失格。残業代をあてにせずとも生活が出来る水準の給与を出すこと、これは経営者としての矜持だと思っている」とあっさり語られていて、その迫力に思わずのみこまれた。

働き方改革はまさしく経営者の力量が問われる機会になってきていると感じる。

★通勤電車で見えてくる東西格差 「通い方改革」で浮き彫りになる東京一極集中

http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/170509/ecn17050908000001-n1.html

「鉄道各社が通勤・通学客向けに全席指定座席の導入を進めている。関東地方の私鉄が相次いでサービスを開始する中、関西では京阪電気鉄道が今年8月、初めて運行を始める。苦行のような通勤・通学が少しでも楽になるならありがたいと思う人は多いはず。官民挙げての「働き方改革」が進められる中、「通い方改革」も動き始めた。だが、その裏には関西経済の寂しい事情も。」

これは働き方改革の本筋から外れたニュースではあるが、通勤ラッシュからの苦痛を解消しようという鉄道会社の取り組みは大いに応援したい。

大阪にしょっちゅう行っているが、首都圏とだいぶ違うことをいつも感じている。まず驚くのが女性専用客車の扱い。首都圏では朝のラッシュ時の一定の時間であるのに対して、関西では終日運行されている。そして、首都圏では最前車両などに設定されていることが多いが、JR西日本では、ほぼど真ん中の車両に設定されている。なので、駆け込み乗車で階段すぐの乗車口から乗ってその車両にあたってしまい、冷や汗をかいたという出張者は少なくないだろう。

そして、ナノイーなど最新の設備投資が進む山手線新型車両が導入された首都圏に対して、大阪環状線は未だに全部朱色や黄緑の車両が運行されている。ばりばりの昭和時代が現存しているのだ。

おそらく、あの悲惨な福知山線の事故で設備投資に影響が出でいるのだろうと推察されるが、もっと早く働き方改革が叫ばれていれば、日勤教育などの人間性を無視したJR西日本の労務管理も改善され、あんな事故は起こらず多くの人命が救われたのではないか、というのは言い過ぎだろうか。

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第684号『社内対話を成功させる法1』

人本経営の実践のためには、やらされ感のない職場文化をつくっていくことが求められます。

それを実現させるために、「対話の促進」が欠かせません。

そのやり方は、委員会活動、合宿、社長塾の開催、一対一の対話の場づくりなど各社各様ですが、成功するためのあり方は、やはり一つといえます。

■成功する社内対話の促進

1.目的の明確化

どんなのやり方であれ、そのことを実施ししていくにあたり、何のために開催していくのか、という目的の明確化と目標の設定を行います。どのような業種であっても組織として活動している限り、以下の目的を叶えていくことは普遍的に重要といえます。

<目的>
「元気で明るい風土(笑顔を増やす)」
「ひとりひとりが主人公(やらされ感をなくす)」
「チームワークが発揮される職場(助け合い思いやりのあるお互い様の精神を養う)」
が実現すること

上記目的の実現にむけて社員全員の合意を図ります。この目的を実現するために、今後、社内活動をしていきたいと考えていると社内に向けて発信し、その方向について異議がないかを確認し、全員が賛同するということを確認して次のステップに進みます。

2.対話できる場をつくる

目的を実現していくために話し合いができる場をつくっていきます。

まずプレプロジェクトとして、キックオフメンバーを募ります。この後、どのような形で進めていくことになるかは、現時点では定まっていませんが、目的に向けて活動していく推進役を担ってくれる有志を募ります。

3.キックオフミーティングの開催

一定期間のメンバー選考期間を経て、第1回のキックオフミーティングを発足します。

メンバーはモチベーションが高く、職場環境の改善に貢献意欲が高いと思われるスタッフには予め打診をしておくとよいでしょう。そして、階層に関係なく初期メンバーとして協力したいという者を立候補制で募集します。

会社に意見具申したいのであれば、ぜひ参加をしてほしいと投げかけ、参加しない場合は今後、プロジェクトで決定していくことを尊重し、積極的に協力していくことを約束してもらいます。

[ベンチマーク]さんびる
どうしたら社員たちが会社に誇りをもち、輝くことが出来るのか――このことを追い求めて2001年に構造改革推進委員会を立ち上げた。明るく元気で地域になくてはならない存在になっていくことを目指して経営改革を次々に断行。役職呼称をやめフルネームのさんづけで呼びあうことや、なによりも社長自らが社員と向き合い、ひざ詰めで対話できる時間を創り続けていくことに腐心し、一人ひとりの社員が心から「この会社に入ってよかった」と思えるように様々な工夫を凝らしていった。

[ベンチマーク]ファースト・コラボレーション
社風と業績に相関関係があると気づいた武樋社長は、「元気で明るい風土」「ひとりひとりが主人公」「チームワークが発揮される職場」が実現できることを経営理念に込めて社員との共有化をはかっていくことにした。社員からの「こんな会社にしたい」という意見も妥協なく吸い上げていった。その結果、「フラットな組織」「命令なし」「ノルマなし」「歩合なし」「営業なし」という経営スタイルが実現されていった。

4.具体的活動を進めていく体制づくり

キックオフミーティングでは改革していくべきテーマをある程度グルーピングして、それぞれ分科的に活動を進めていきます。

[ベンチマーク] 天彦産業
企業活動の一環として委員会活動をしており、社員全員がヒラメキ(自己啓発・促進)・トキメキ(社内外に対する広報・情報収集)・ハツラツ(心と体の健康管理・促進)・スッキリ(安全・美化・しつけ)の4つの委員会のいずれかに属し、より良い企業文化作りのために活動している。

(次号へ続く)

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2017年5月 8日 (月)

「働き方改革」関連ニュース

★中小企業の長時間労働の環境「働き方改革」に必要なのは経営者の覚悟

http://news.livedoor.com/article/detail/13019809/

「働き過ぎの状況を解消するには、経営の覚悟が求められます。
すなわち、時短や休暇取得の促進は、生産性や効率性の低下、あるいはコスト増を促し、その結果、収益の低下を招くリスクと立ち向かう覚悟が求められるのです。
そのリスクを、働き手に転嫁することはもはや許されず、経営課題として経営者がそれを飲み込むべきである、というのが働き方改革の趣旨である」

そのとおりと感じる。
そしてその答えが人本経営の弛まなき実践である。

★時間外 月45時間以上「社員いる」 中小の4割近く 都昨年度調査

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15840230X20C17A4L83000/

「東京都は27日、中小事業所・従業員の労働時間管理に関する2016年度の実態調査結果をまとめた。月45時間以上の時間外労働をしている社員のいる事業所は全体の38.4%に上り、「過労死ライン」と呼ばれる月80時間以上の人がいるところも13.2%あった。働き方改革に注目が集まるなかでも、長時間労働は減っていない実態が浮き彫りになった。
最長時間外労働時間数の平均を事業内容別にみると「情報通信業」が最多の83時間で、「運輸業」(61時間)、「サービス業」(60時間)が続いた。」

減っていないと断言していいのか疑問。
1人当たりの平均時間が22.3時間は悲観する結果ではないだろう。
業種別で極端な差があることが浮き彫りなっていることのほうが問題。
うちはITだから、物流だから、飲食だから・・・言い訳は簡単。
これからはITでも、物流でも、飲食でも残業月20時間以内といえる企業が人を集める時代になることは確実。
見方をかえると大チャンス。

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第683号『売り手市場という低次元発想ではこの先を見誤る』

働き方改革政策を最優先課題と位置づけた安倍晋三首相が、そのベンチマークに訪れた大阪の天彦産業。樋口友夫社長は首相に対し開口一番「わが社は社員第一主義です」と切り出したのが印象的でした。

その樋口社長が先日、facebookで以下のフィードを投稿されていました。

売り手市場?
NHKのニュースを観ていたら「学生に有利な時代ですねー」のコメント。情けない限りです。
世界の動きを観ていると戦争が身近に起きそうな時代です。
自分の人生を如何に作り上げていくかが問われています。
就職に売り手市場という表現をNHKが言うのですよ!
企業は内需縮小へどう対策を打つか!
グローバル戦略にどう対処するか!
この流れに対応出来る社員・仲間が必要なのです。
売り手市場でなく、自らの目標に向かって行きやすい時代ですと言って欲しい!
売り手市場という表現をしている低次元さを知って欲しい!◀

同じニュースをみていて、当通信でも同様の疑問を感じました。

そんな単純思考では、この先の未曽有の人口減少時代を見誤ると思いました。

この先20年近くは、生産年齢人口も新卒学生も減少の一途を辿っていくことは確実になっています。ですから、新卒に対する有効求人倍率が上昇し続けることは必至です。

そして、思うように採用が進まず、社員が高齢化していく会社は、いずれ寿命を迎えてしまいます。この大きなトレンドはバブル崩壊から続いているとみることが正しいのではないでしょうか。途中、極端なデフレ経済のあおりで就職氷河期と言われた時期もありましたが、生産年齢人口の減少が始まり、右肩上がりの経済環境が毀損されて以降の津波のような大潮流が社会を襲ってきているのです。

人口減少はじわじわとした変化ですが、確実に企業経営に影響を与える抗いがたい変化です。バブル崩壊後、わが国の事業者数はピーク時の535万者から2014年には380万者へと減少の一途となっています。

この間、生産年齢人口は1000万人も減少しているのです。それが企業経営に影響を与え、変化に対応できなかった企業が世の中から姿を消しているのです。

この先、現状のままでいくとさらに800万人近くの生産年齢人口が、20年近くかけて減り続けていきます。ですから、事業者の減少もまだ下げ止まりはしないでしょう。これまでの傾向から予測するに、さらに60万者ほど減り続け、わが国の企業社会は320万者程度の規模に縮小していくことが見込まれています。まさしく「6割経済」の到来です。

こうした大きな時代の変化を考えずに、青田刈りをして現状の企業体力以上に新卒採用を拡大してしまう人事をしていては、経営が行き詰るのは火を見るより明らかです。

学生は学生で、安易に就職先を選んで「就活は楽だった」で社員人人生を始めたら禍根を残す可能性がとても高いことを知る必要があります。何故なら、きちんとした経営をしていない会社は淘汰されていく運命にあるからです。

中小企業は中小企業で、「大企業にもっていかれて、人が採用できない」と嘆いていては、これまた座して死を待つばかりとなります。

株式会社シェアードバリュー・コーポレーション主催の人本経営実践講座に参加した、千葉県で居酒屋を経営する会社は、地元の高校生や大学生をアルバイトとして採用し、その後ほとんどの若者が卒業まで辞めず、毎年その中から新卒を受け入れる、ということを実現しています。なかには日本有数の航空会社の内定を蹴って、この居酒屋に就職先を決めた学生もいます。この会社には人生をかけるに値する価値があると感じるからこその出来事です。

真剣に向き合えば、今の学生たちは「この会社には本当に人を大切にする企業文化があって、自分の人生を託すにふさわしい」と受け止めて決断する感性があります。この居酒屋の事例は、そのことをぐうの音も出ないくらいに事実として示しているでしょう。愚痴らず、やるべきことを実践するのみです。

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