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2016年7月19日 (火)

第643号『伊那食品工業視察記2016 その2 金では追いつけない時間差』

いい会社の代名詞となった伊那食品工業。今でこそ3,000人もの新卒が殺到する超人気企業となりましたが、求人広告を出しても全く応募がなかった時代がありました。

どうすれば、人が来てくれる会社になるのか。真剣に考えたといいます。

「やはり、会社に来た時にあまりに働く環境が悪いと感じたら、応募もないだろうと考え、外観にこだわるようにした。」と塚越会長は語られていました。曰く、こうしたことには背伸びをしていくほうがいい。

「長靴よサヨナラ運動」で当時としては破格の設備投資をしたという話はよく出てきますが、外観にもこうしたこだわりがあったようです。その積み重ねが、まるでテーマパークのように美しい現在の伊那食品工業の社屋、敷地につながっていったのでしょう。

■広報活動の重要性

「親しみやすい会社だと大衆に分かってもらうことは、ファンづくりにつながる。会社を好きだという人を増やすために広報活動が重要だ。」と指摘されていました。

このことに反応したのが自身の経営哲学に影響を受けているトヨタの豊田章男社長だといい、最近の取材に応じる姿勢や言動が変わってきたといいます。

ファンづくりの秘訣として、赤字部門をイメージアップに使えばいい、とも指摘されていました。

全体で利益が出ていればいいのであるから、赤字部門だからといって切って捨ててしまうのではなく、それをファンづくりにつなげていくのがコツということでしょう。

敷地内には、いつも一般の人が利用している水汲み場があります。伊那はアルプスのふもとで、掘れば美味しい水が取水できるということで井戸をつくっています。900万かけて整備し、維持費用もかかります。これ自体、売上には貢献していないのですが、まさしくファンづくりの一環として実行している訳です。

■自己のためと利他の一致

同社には売上、利益目標はなく、前の年を少し上回ればいいという暗黙の合意があります。塚越会長はこの意味を、「数字は結果であり、この結果から反省するような経営をしていては遅れてしまう。」と説明されていました。とくに中小企業ではこれではだめで、「トップがその日その日でベストを尽くして、会社が一枚岩になることを実現していくことだ。」と説かれていました。

どうやって会社の方向性を社員にわからせるか。

社長が自分の財産を肥やすために経営をしているのでは、社員は動かない。共通の目標があって、そういう方向へ進んでいきたいと共感共鳴が起きる。共通目標を掲げるのには社是がいい。それが、すべての人がいい会社だねと言ってくれるように『いい会社をつくりましょう』。

まずは自分たちが満足しないと始まらない。例えば、朝みんなが掃除するのも会社のためでなく、大事な気づきが得られて自分の成長につながると思うから自発的に行っている。そして、その行動が他の人にとって快適な状態に一致する忘己利他の実現が人を幸せにする。

塚越会長の講話の最後は、「伊那食品工業の経営ノウハウは完全にオープンになっているが、ここまで蓄積してきた年輪は50年を超え、いい会社づくりの時間で差がついているので何も心配していない。」と明確でした。「いかにノウハウがオープンであったとしても、明日すぐに伊那食品工業は実現できない。いくらお金かけても時間差は追いつけない。」と自信がみなぎっていました。老舗が強いのもそういうことだろうと締めくくられていました。

その通りだと反論の余地がありませんでした。やはり、これから遠くをはかって一日一日、いい会社になるための努力を重ねて近づいていくことに尽きるのだと感じさせられました。やればできるはず。どこまで近づいていけるか。チャレンジです。

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